【自宅ラボ】vSphere Lifecycle Manager で USB NIC Driver を適用してみる

【自宅ラボ】vSphere Lifecycle Manager で USB NIC Driver を適用してみる


VMware by Broadcom は、本番利用では利用出来ないものの、エンジニアやコミュニティによって開発された "VMware by Broadcom Flings" を公開しました。
従来から VMware Flings として公開されていたものが整理され、 VMTN Communities 上へ移管されたものとなります。

この中に USB 接続の LAN アダプタを ESXi で利用可能にする "USB Network Native Driver for ESXi" が提供されています。

今回はこのドライバを適用するに当たり、 vSphere Lifecycle Manager を用いて ESXi ホストへ展開する方法を実施してみます。


USB LAN アダプタについて

対応している USB LAN アダプタ

対応している LAN アダプタが定められているため、下記から情報を参照してください。

    参考
    Requirements - USB Network Native Driver for ESXi

チップセット標準ドライバで動作する LAN アダプタと、チップセットは同じでもアダプタ製造ベンダのドライバで動作する LAN アダプタがあるため注意が必要です。

どちらが利用されているか判別出来ない商品はオススメできません。


今回利用する USB LAN アダプタ

今回はチップセット標準ドライバで動作する、 ASUSTOR 製 AS-U2.5G2 を購入しました。

USB 2.5Gbps NIC

チップセットは Realtek 製 RTL8156B が利用されています。

RTL8156B は、RTL8156 と同一のドライバーで動作するもので、消費電力や発熱が削減されているものとなります。

RTL8156 搭載 LAN アダプタは比較的安価で購入できるものですが、安定的な利用を踏まえると RTL8156B と明記されている商品をオススメします。

なお、余談ですが本来は USB Type-C to USB Type-A への変換アダプタは USB Type-C の仕様に違反するものです。
このアダプタを他の用途に利用した場合に予期せぬトラブルが生じる可能性もあるため注意してください。

実際に本製品のドキュメントにも、アダプタへ本体を差し込む向きにより動作が変化することが記載されているため、アダプタ利用時は注意してください。


ドライバの適用

事前準備

適用する ESXi のバージョン毎にドライバが用意されています。

基本的に最新のドライバは ESXi バージョン向けに公開されるため、ESXi は最新のバージョンを適用することが推奨されます。

今回の環境は ESXi 8.0 Update 2 であるため、ドライバ v1.13 をあらかじめ Flings のページからダウンロードしておきます。


デポへドライバをインポート

今回は vSphere Lifecycle Manager を用いて適用するため、ドライバをあらかじめデポへインポートしておきます。

  1. vSphere Client へログイン

  2. [ホーム] のメニューから [Lifecycle Manager] を選択
    ドライバをデポへインポート 01

  3. [アクション] メニューから [アップデート] - [更新のインポート] を選択
    ドライバをデポへインポート 02

  4. 更新のインポートにて [参照] からダウンロードした USB Network Native Driver for ESXi の ZIP ファイルを選択
    ドライバをデポへインポート 03

  5. [デポのイメージ] 内のコンポーネントの中に [VMware USB NIC Fling Driver] のバージョン [1.12-2vmw] が登録されることを確認
    ※バージョン毎に異なるため、リリース日が公開日近辺であることを確認します。
    ドライバをデポへインポート 04


イメージの作成

今回はクラスタのイメージに USB Network Native Driver for ESXi を追加することで、クラスタ内の ESXi ホストへドライバのインストールを行います。

USB Network Native Driver for ESXi の適用には再起動が必要なため、vCenter Server が動作する ESXi ホストに対しては実施出来ません。

最低でも2台以上の ESXi ホスト環境である必要があるため注意してください。

  1. vSphere Client の [ホーム] のメニューから [インベントリ] を選択
    イメージ作成 01

  2. [ホストおよびクラスタ] にて対象のクラスタを選択して [アップデート] タブを開く
    イメージ作成 02

  3. [イメージ] の [編集] ボタンをクリック
    イメージ作成 03

  4. [コンポーネント] の [詳細を表示] を選択
    イメージ作成 04

  5. [コンポーネントの追加] を選択
    イメージ作成 05

  6. 一覧から [VMware USB NIC Fling Driver] のチェックを入れる
     
    イメージ作成 06

  7. バージョンが適用対象のバージョンであることを確認
    イメージ作成 07

  8. [選択] ボタンをクリック
    イメージ作成 08

  9. [検証] ボタンをクリック
    イメージ作成 09

  10. [イメージは有効です。] の表示を確認して [保存] ボタンをクリック
    イメージ作成 10

  11. イメージの作成が完了することを確認
    イメージ作成 11


イメージの適用

作成したイメージを干すとへ適用します。

  1. [事前チェックの実行]ボタンをクリック
    イメージ適用 01

  2. 問題が見つからないことを確認
    イメージ適用 02

  3. 今回は適用前までを実施するステージングをするため[すべてをステージング]ボタンをクリック
    イメージ適用 03

  4. ステージングが正常に完了したことを確認
    イメージ適用 04

  5. 今回は1台のみですが、ホスト単位での修正を行うため対象ホストを選択後、[アクション] - [修正]にてホストに存在するイメージとの差分を適用を開始
    イメージ適用 05

  6. [同意する]にチェックを入れて[修正の開始]をクリック
    イメージ適用 06

  7. ドライバが適用されホストの再起動が自動的に行われてドライバインストールが完了
    イメージ適用 07

  8. 対象ホストの [構成]タブ - [ネットワーク] - [物理アダプタ] にて、ホストに USB デバイスを接続すると [vusb0] として認識されていることが確認できる
    イメージ適用 08


おわりに

ESXi ホストへの vib モジュールインストールとしては、 esxcli コマンドを使用する従来の方法がメジャーですが、 vSphere Lifecycle Manager を利用することで難しい操作を行うことなく、クリック操作のみで適用させることが出来ました。

ただし、 Flings 側にも記載されていることとして USB NIC の認識は ESXi のブートプロセスの終盤であるため、 vSwitch との紐付けが外れる問題や、複数の USB NIC がある場合に認識順序がずれる問題が生じます。

次回はこの問題に対処するため、 Flings の手順を自分なりに読み解いた記事を執筆したいと思います。

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