【自宅ラボ】vSAN HCI のシャットダウンと再起動

【自宅ラボ】vSAN HCI のシャットダウンと再起動

vSAN HCI クラスタをシャットダウンする場合は、正しい手順での操作が必要です。

かつては各 ESXi ホストへ CLI または SSH でのログインを行いコマンドの実行が必要でしたが、vSAN 7.0 Update 3 以降では vSphere Client からウィザード形式でのシャットダウンが利用可能です。

今回は、このシャットダウン ウィザードを用いた vSAN HCI クラスタのシャットダウンと、起動して再度利用をする方法について紹介します。

vSAN HCI クラスタシャットダウン

前提条件

今回の構成は下記にて実現しています。

  • サーバー筐体 (3台)
    • 機種
      • Intel/ASUS NUC13ANHi7
  • vSphere 環境
    • vCenter Server 8.0.3
      • Build  24322831
    • ESXi 8.0.3
      • Build 24414501
    • 各種ライセンス
      • vCenter Server 8 Standard
      • vSphere 8 Enterprise Plus
      • vSAN Enterprise
    • vSAN クラスタ
      • 上記サーバー筐体3台で構成済み
        • vSphere DRS 有効化済み
        • vSphere HA 有効化済み
        • vCLS は組み込みで有効


参考資料

今回の操作について、参考資料として以下を確認しています。

クラスタのシャットダウン ウィザードを使用した vSAN クラスタのシャットダウン

 vSAN クラスタの再起動


事前準備

vSAN クラスタの健全性確認

vSAN Skyline Health を確認して、 vSAN  クラスタサービスに問題が生じていないことを確認します。

ディスク障害等が生じている状態で停止した場合、起動時に正常にクラスタを開始できない等が生じる可能性があります。

  1. vSphere Client の [ホストおよびクラスタ] にて一覧からシャットダウンを行う vSAN クラスタを選択
    vSAN クラスタ健全性確認 01

  2. [監視] タブを選択
    vSAN クラスタ健全性確認 02

  3. [vSAN] - [vSAN Skyline Health]  を選択
    vSAN クラスタ健全性確認 03

  4. クラスタで認識済みの軽微な問題を除き、注意や警告が発生していないことを確認
    vSAN クラスタ健全性確認 04


vSAN クラスタ上仮想マシンのシャットダウン

vSAN クラスタ上で稼働している仮想マシンを全てシャットダウンします。

ただし、以下を除きます。

  • vCLS 仮想マシン
    • シャットダウンプロセス内で自動的に退避モードとなり削除されます
  • vSAN クラスタ上でホストされている vCenter Server 仮想マシン
    • vCenter Server の動作に必要な DNS や Active Directory 仮想マシンを除く
  • vSAN ファイルサービス用仮想マシン
    • vSAN ファイルサービスを利用している場合のみ


再同期タスクの完了確認

vSAN を構成するにあたり、 vSAN サービスが利用する VMKernel をあらかじめ設定します。

  1. vSphere Client の [ホストおよびクラスタ] にて一覧からシャットダウンを行う vSAN クラスタを選択
    再同期タスク完了確認 01

  2. [監視] タブを選択
    再同期タスク完了確認 02


  3. [vSAN] - [オブジェクトの再同期]  を選択
    再同期タスク完了確認 03

  4. 再同期オブジェクトの合計数が [0] であることを確認
    再同期タスク完了確認 04


vSAN HCI クラスタのシャットダウン

前提条件を満たした上で、シャットダウンウィザードを開始します。

なお、今回の紹介では、 vCenter Server は vSAN クラスタ外のホストで動作しているものとなります。

  1. vSphere Client の [ホストおよびクラスタ] にて一覧からシャットダウンを行う vSAN クラスタを右クリック
    vSAN HCI クラスタ シャットダウン 01

  2. メニューから[vSAN]  - [クラスタのシャットダウン] を選択
    vSAN HCI クラスタ シャットダウン 02

  3. シャットダウン ウィザードにて、シャットダウンが行えることを確認して [次へ] を選択
    vSAN HCI クラスタ シャットダウン 03


  4. [シャットダウンの原因] で任意の入力、または、選択を行い [シャットダウン] を選択
    vSAN HCI クラスタ シャットダウン 04

シャットダウンが開始され、 以下のような処理が自動で行われます。
  • vCLS モードを [退避モード] へ変更
  • vSphere HA の無効化
  • 各 ESXi で vCenter Server からのクラスタ メンバーの更新を無効化
  • 安全な vSAN サービスの停止処理
  • ホストのメンテナンスモードへの切り替え
  • ホストのシャットダウン

シャットダウンの時間は環境により異なりますが、筆者の NUC 3台構成環境では、10分前後の時間がかかりました。


停止した vSAN HCI クラスタの起動

シャットダウンした vSAN HCI クラスタの起動を行います。

物理操作後に GUI で vSAN クラスタの再起動を行います。

なお、 vCenter Server は別ホスト上で正常稼働している前提として記載しています。

  1. 起動対象の vSAN HCI クラスタを構成している全ての ESXi ホストを起動
  2. vSphere Client の [ホストおよびクラスタ] にて一覧から起動を行う vSAN クラスタを右クリック
    vSAN HCI クラスタ起動 02


  3. メニューから[vSAN]  - [クラスタの再起動] を選択
    vSAN HCI クラスタ起動 03


  4. [再起動] ウィザードにて [再起動] を選択
    vSAN HCI クラスタ起動 04


vSAN HCI クラスタの起動が行われ、以下のような処理が自動で行われます。

  • ホストのメンテナンスモードを解除
  • 安全な vSAN サービスの開始
  • 各 ESXi で vCenter Server からのクラスタ メンバーの更新を有効化
  • vSphere HA の有効化
  • vCLS モードを [システム管理] へ変更

起動時間は環境により異なりますが、筆者の NUC 3台構成環境では、5分程度の時間がかかりました。

起動完了後、[vSAN クラスタの健全性確認] を行い、異常が無いことを確認して完了です。


おわりに

今回は vSAN HCI クラスタ環境の GUI ウィザードでのシャットダウン、および、再起動の手順を紹介しました。

本番環境では完全停止を行うのは法定停電等の限られた機会のみであるとは思いますが、その際の手順を簡略化することができます。

また、筆者のように常時起動させないラボ環境を利用している場合は、停止までの時間はかかりますが数クリックで完了するためとても扱いやすいです。

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