Android 13 (Beta 4) でQRコード加入をモバイル回線で実施する
Android 13 (Beta 4) でQRコード加入をモバイル回線で実施する
前回、 Pixel 6a に Android 13 Beta を適用 しましたが、この状態のデバイスを QRコードを用いて Workspace ONE UEM に加入させてみます。
事前準備
デバイスを Work管理対象として加入させるためには、デバイスを初期化する必要があります。
Android 13 Beta を登録したデバイスをそのまま初期化しても、元のOSバージョンに戻ることはありません。
事前にデバイス操作により初期化を実施しておきます。
また、今回はモバイル回線にて加入を試みます。利用するネットワークは povo2.0 を利用しました。
povo2.0 は維持費用を押さえつつ、2台目や検証用途に最適です。
povoおともだち紹介プログラムがあり、利用者から紹介を受けると、24時間データ使い放題が開通と同時に1度有効化されたり、データトッピングによりプロモコードが送付されたりと、特典があります。
契約を検討なされている方は、是非こちらの利用をご検討ください。
紹介コード : KZM3GMCQ
なお、このブログ執筆時は、 データ使い放題(24時間) のトッピングを購入して実施しています。
アプリのダウンロード時間もそれほど長くなく、スムーズな進行となりました。
※トッピング無しで検証したところ、Hubアプリが立ち上がるまで3時間以上かかりました。128kbps回線で、apkファイルのダウンロード以外の通信も発生するため、非常に時間がかかることからおすすめしません。
Workspace ONE UEM の対応状況
VMware社では、ナレッジベースとして、新OSに関するアナウンスが行われます。
Android 13については、Getting Ready for Android 13 (88379) をご参照ください。
動作変更に関するアナウンス、既知の問題、コンソール側サポート状況、各アプリの対応状況等が記載されています。
執筆時点では、Intelligent Hub Ver. 22.07 が Android 13 対応としてアナウンスされており、それ以外はアナウンスがされていない状況でした。
VMware KB ページより抜粋 |
加入用 QR コードの作成
通常の加入用 QR コードは、Workspace ONE UEM 上で作成することが出来ますが、2022年8月時点の Workspace ONE UEM では、モバイル回線での加入に対応していません。
そのため、QRコードの定義を自身で作成して、QRコードを作成する必要があります。
QRコードで定義するプロパティはこちらを参考にしていただけたらと思います。
Android 13 では、下記2つの加入用の定義が追加されました。
PROVISIONING_USE_MOBILE_DATA : 加入時のモバイル回線利用を許可
PROVISIONING_KEEP_SCREEN_ON : 加入時の画面点灯を維持
【参考】
DevicePolicyManager | Android Developers
https://developer.android.com/reference/android/app/admin/DevicePolicyManager
上記はいずれもブール値で指定する必要があり、既定値は false となっているため、指定しない限り利用することはできません。
追加された機能を有効化する場合、QRコードの本文中に、それぞれ以下の定義を追記する必要があります。
モバイル回線を利用する場合
"android.app.extra.PROVISIONING_USE_MOBILE_DATA" : true,
画面点灯を維持する場合
"android.app.extra.PROVISIONING_KEEP_SCREEN_ON" : true,
また、PROVISIONING_USE_MOBILE_DATA を利用する場合、Wi-Fi に関する定義は指定してはならないのでご注意ください。
以下に、上記2つの定義を有効化した QR コードの元となる JSON 形式のサンプルコードを掲載しています。
太字傾斜文字 の箇所を環境ごとに置き換えて利用してください。
サンプル QR コード |
{ "android.app.extra.PROVISIONING_DEVICE_ADMIN_COMPONENT_NAME":"com.airwatch.androidagent/com.airwatch.agent.DeviceAdministratorReceiver", "android.app.extra.PROVISIONING_DEVICE_ADMIN_SIGNATURE_CHECKSUM":"6kyqxDOjgS30jvQuzh4uvHPk-0bmAD-1QU7vtW7i_o8=\n", "android.app.extra.PROVISIONING_DEVICE_ADMIN_PACKAGE_DOWNLOAD_LOCATION":"https://play.google.com/managed/downloadManagingApp?identifier=hub", "android.app.extra.PROVISIONING_SKIP_ENCRYPTION" : false, "android.app.extra.PROVISIONING_LEAVE_ALL_SYSTEM_APPS_ENABLED":false, "android.app.extra.PROVISIONING_USE_MOBILE_DATA" : true, "android.app.extra.PROVISIONING_KEEP_SCREEN_ON" : true, "android.app.extra.PROVISIONING_ADMIN_EXTRAS_BUNDLE": { "serverurl":"dsXXX.awmdm.com", "gid": "Group ID", "un":"Enroll Username", "pw":"Enroll Password" } } |
QR コード加入の実施
QR コード加入を実施していきます。
今回は冒頭に記載しているとおり、 Google Pixel 6a Android 13 Beta 4 を利用しました。
Android デバイスの製造ベンダー、機種、今後の開発により画面が異なる場合があります。
- Android 13 Beta の状態で初期化を実施した場合、Beta Program である注意事項が表示されるので、『OK』をタップ
- ようこそ画面で『ようこそ』を6回連続してタップ
- QR コードリーダーが起動するので加入用の QR コードを読み取る
- モバイル回線による通信が可能であるかチェックが行われるので、少し待機
- 組織用にセットアップを行うメッセージ画面が表示されるので『次へ』をタップ
ここでWi-Fiマークがなく、モバイル回線のアイコンが表示されています。 - (UEM URL 、組織グループID を QR コードに埋め込まない場合のみ)
Intelligent Hub アプリが自動的に起動するので加入先環境情報を入力 - (UEM ユーザー名、パスワード を QR コードに埋め込まない場合のみ)
加入するユーザー名、パスワードを入力 - Work 管理対象としてデバイスをセットアップすることに同意
- セットアップの続行を実施
- Google サービスで位置情報仕様等に同意
- Pixel 6 の場合、ジェスチャーナビゲーションに関する操作案内が表示されました。
必要に応じて実施します。 - セットアップ完了が通知されるので、ホーム画面に進みます。
- ホーム画面が表示されます。
- (システムアプリの削除を QR コードに含めた場合)
一部のアプリケーションを除き、大半のアプリケーションが消去されます。
Beta版のフィードバックアプリも消去されたため、必要な場合はシステムアプリを残すことをおすすめします。
加入結果確認
Intelligent Hub を起動して状態を確認します。
問題なく加入中の状態となりました。
続いて Workspace ONE UEM コンソールを確認してみます。
こちらも問題なく、Android 13 として登録されています。
機種情報や、シリアル番号情報も問題なく取得、表示されていました。
注意事項
今回は povo2.0 回線を利用しましたが、当初MVNO回線である OCNモバイルONE のSIMカードを利用したところ、うまく4G, 5G マークが表示されず、加入を継続することができませんでした。
MVNO回線の場合、同じキャリアのSIMカードでAPNにより振り分けているため、APN設定を行う画面がないことからうまく利用することができないものと考えられます。
利用するネットワーク、デバイスの相性が生じる可能性があるため、大量キッティングを行う際は事前に確認を行うことをおすすめします。
また、今回加入したところ、1回の加入で160MB以上の通信が発生しました。
デバイスの状況によって、また、アプリの配信を行い場合、より多くの通信量となることが予想されます。
消費する通信量が許容できる範囲であるか、事前に確認することをおすすめします。
おわりに
Android 9 以降から、QRコード加入ではモバイル回線を利用できない状況でしたが、ようやくその状態が改善しました。
Wi-Fi アクセスポイントが不要であるため、キッティングを行う際の環境に柔軟性が生まれます。
ただし、当然ではありますが多くの通信が発生しますので、その点はご注意ください。
この情報は認識しており、以前の記事でも言及しておりましたが、Android 13 Beta 版を利用可能なデバイスが手元にないため、検証が遅くなりました。
今後、Android 15 くらいまでは Pixel 6a が利用できるので、来年は Beta 1 の導入等から順に記事を執筆できるといいなと考えています。
コメント
コメントを投稿