5G ネットワークの提供状況について調査してみる

5G ネットワークの提供状況について調査してみる

現在各社にてエリア整備が行われている 5G NR 、現在は NSA (ノンスタンドアローン) モードで提供されており、多くのキャリアで設備やエリアが整備され次第、 "真の 5G" とも言える、5G 設備のみで構成された SA (スタンドアローン) モードの提供が予定されています。

この状況をまとめてみました。

5G NR とは

W-CDMA(第3世代)、LTE(旧第3.9世代)、LTE-Advanced (第4世代、真の4G)に続く、第5世代の移動通信システムの名称が 5G NR (NR は New Radio の略)です。

5G NR では、第4世代からの進化ポイントとして大きく3つの特徴があります。

  • 高速
  • 低遅延
  • 多数同時接続

5G NR の展開方式

5G NR へ 4G ネットワークから急に切り替えることは時間、予算、端末、電波リソース等々の理由から困難であるため、既存のネットワークリソースを活用する動作モードと、完全な設備切り替え状態となる動作モードがあります。

  • ノンスタンドアローン (NSA)
    • 基地局として 5G 基地局を用意するも、既存 4G ネットワークの設備と連携
    • バックグラウンドは 4G コア設備で動作
      • データ通信のみ5G
      • デバイス制御、通話は4G
    • 5G の特徴のうち、広帯域を活用した『高速』のみが活かされる
      • 4G 周波数帯を転用した場合、表示が 5G となる以外の差はありません
        • 有識者以外にはこの違いが分からないため、比較的実施しやすいこの転用を優先してエリアを広げることで、5G整備が進んでいる印象を与えようとしているキャリアもあります。
  • スタンドアローン (SA)
    • 基地局だけでなく、バックグラウンドも 5G コア設備で動作
    • 5G の3つの特徴すべてが提供される
    • 5G SA エリア外は NSA と同等の動作でサービスが提供される
    • 音声通話はVoNR (Voice over NR) か EPSフォールバックによる VoLTE にて提供
    • 5G NR の最終形態="真の5G"
    • NSA では 4G ネットワークと帯域を束ねるキャリアアグリゲーションが提供されており、切り替えると4Gネットワークを利用出来ないためむしろ速度低下となる可能性がある
5G NSA SA ネットワークの違い
ソフトバンクプレスリリースより引用
引用元:国内初、スタンドアローン(SA)方式の5G商用サービスを提供開始 | 企業・IR | ソフトバンク


5G 周波数帯

5G では、以下の種類の周波数帯が利用されています。

  • 4G転用周波数帯
    • バンド1〜42、3.5GHz帯よりも低い周波数帯
    • 5G として表示されるものの、帯域幅の制約から速度は変わらない
  • Sub6
    • 6GHz未満の周波数帯の総称
      • 5Gネットワーク用に新たに割り当てられた周波数帯を指す場合が多い
      • 4G転用も含まれるが、区別のためにこの記事では含めずに記載します
    • 国内では5G専用バンドとして主に下記3つがある
      • n77, n78
        • 3.7GHz帯
        • レーダー波との干渉があるため DFS 技術が必要
        • 世界的にも多数の国で採用
      • n79
        • 4.5GHz帯
        • 他の用途では使用しておらず、専用に利用出来る
        • 世界的にはドコモ、中国 (China Mobile)、ロシア (Mobile TeleSystems) のみで採用
          • そのため対応機器が非常に少ない
  • ミリ波
    • 30GHz〜300GHzの周波数帯の総称
    • ただし、5Gでは 28GHz帯を使うものの、ほぼ30GHzとの理由からミリ波と呼ぶ
    • 大容量だが、電波が飛びにくくエリアが狭い
      •  そのためエリアではなくスポットとして提供される
    • デバイス側のアンテナ設計もコストがかかるため、高価格帯の一部のみ対応

5G SA 方式の提供状況

2022年7月4日時点での 5G NR SA のコンユーマー向けサービス提供状況は下記の通りです。

  • NTTドコモ
    • 2022年夏予定
    • 対応機種は"ハイスペックモデル"のみ 参考
  • KDDI
    • 2022年夏以降予定
    • 対応機種情報は未発表
  • ソフトバンク
    • 2021年10月19日に開始済み
    • サブブランドの Y!mobile でも提供
    • 指定機種のみ
    • 5Gエリアの一部のみ
    • 5G SA 対応 USIM カードが必要
  • 楽天モバイル

5G SA 方式を利用するには

執筆時点の2022年7月4日時点では、通常の利用者が 5G NR SA を利用するためにはソフトバンクグループの提供するサービスの契約、および、対応機種の契約を行うことになります。

また、対応機種も下記のみと限られた状況です。

  • ソフトバンク
    • Airターミナル5 (Softbank Air)
    • Xperia 5 III (A103SO)
    • AQUOS R7 (A202SH)
    • Xperia 10 IV (A202SO)
  • Y!mobile
    • AQUOS wish (A104SH)
    • AQUOS wish2 (A204SH)

おわりに

今回は 5G の概要と現状についてまとめてみました。

5G はまだまだ整備中の状況であり、5G の宣伝で言われていた低遅延を実現するSA方式が全体的に提供されるまではまだまだ時間がかかると思われます。


5G SA が契約内容を意識せずに提供され、低遅延、多接続を活かしたサービスが提供されるのは、まだ5年程度はかかりそうに感じます。

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